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第23回PCクラスタシンポジウムにて「SCSKにおける生成AIの取り組み」を講演

2023年12月7日(木)~8日(金)に第23回PCクラスタシンポジウム「HPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)基盤技術と生成AI」が開催されました。本シンポジウムに当社の技術戦略本部長 福井が登壇し、SCSKにおける生成AIの取り組みについて講演しました。
本記事では当日の講演内容を紹介します。


イベント概要

PCクラスタコンソーシアムは、PCクラスタ市場の育成を目指す共同事業体です。その目的は、PCクラスタ向けソフトウェアの開発、維持、そして普及を通じて市場の発展に貢献することです。
PCクラスタコンソーシアム

近年は特に、クラウド技術やコンテナ技術などの先進的な利用技術、AIやビックデータなどのPCクラスタを基盤とする革新的な情報システムの普及・技術交流に取り組んでおり、SCSKも法人会員として参画しています。

講演「SCSKにおける生成AIの取り組み」

講演では、SCSKにおける生成AIの取り組みを、以下の3点を軸に紹介しました。

 ・SCSKでの生成AI導入
 ・SCSKにおける取組事例
 ・Next step

SCSK技術戦略本部の紹介
講演中の様子

SCSKでの生成AI導入

SCSKでは生成AIに関して蓄積したノウハウをお客様へ迅速に展開していくことを目指しており、SCSKグループ内における生成AI活用を3つのフェーズで進めています。

  • フェーズ1「 触ってみる」

  • フェーズ2「 アイデア創出」

  • フェーズ3「 PoC 」

また、当社は「住友商事生成AIワーキンググループ」にも参加し、グループ横断で生成AIの活用検討や情報共有を行っています。すでにグループ企業の各現場で複数のアイデアが具体化されています。
住友商事グループ プレスリリース:住友商事グループでの生成AIの活用検討について | 住友商事 (sumitomocorp.com)

フェーズ1「 触ってみる」

このフェーズでは、SCSKグループ社員がChatGPTを早急に利用できる環境を提供するため、自社環境に生成AIサービス「SCSK-GAI」をリリースしました。また環境提供と同時に生成AIの利用に向けたガイドラインを整備し、運用を開始しています。
プレスリリース:生成系 AI 「SCSK Generative AI」を全役職員が業務利用開始~生成系 AI の安全・安心な利活用に向けて~

生成AI利用ガイドラインは、取り組み当初からセキュリティを重視し、保守的な基準から運用を開始しました。現在も継続的に改善とブラッシュアップを続けています。
また、SCSK-GAIの利用者数はリリース以降右肩上がりで増加し続けており、現在約12,000人が利用しています。

フェーズ2「 アイデア創出」

ChatGPTの利用環境を提供後、ユースケースの整理と共有を行うことを目的に、社内向けワークショップ「Generative AI アイデアキッチン」を開催しました。

Generative AI アイデアキッチンは、社内の約50の組織で開催し非常に高い効果がありました。発想された生成AI活用アイデアは現在、社内サイトで共有されています。
これらのアイデアは将来的に社外にも提供する考えです。

SCSK技術戦略本部の紹介
ワークショップで創出したアイデアの一部

SCSKにおける取組事例

フェーズ3「 PoC 」を含めた「SCSKにおける取組事例」を紹介します。
現状生成AI活用についての検討は、文章生成技術の活用から始まるケースが大半であり、ユースケースは3つに分類できます。

  • 従業員の壁打ちチャットボット

  • 社内情報の検索

  • 問合せ対応の効率化・自動化

SCSK社内ではコーポレート部門を中心に「ChatGPTを用いて問い合わせの自動化を実現したい」という要望が非常に多く寄せられています。また「自社サービスの開発にAIを応用したい」という相談もあります。これらの要望に

生成AI検討の主なユースケース
生成AI取り組み事例:様々な観点での試行、実業務を想定したPoCなどが進行中

SCSKでは生成AIの活用を4つのステップで推進しています。

Step1 利用
現状、社内導入を検討している顧客からは、ガイドライン検討や社員のスキル習得に関するリクエストが非常に多い状況。

Step2 参照
社内の既存データを用いて検索をしたいという相談も多い状況。

Step3 追加学習・Step4 モデル生成
ファインチューニングや大規模言語モデルについては適用する分野や使い方を想定しつつ、検証を開始している段階。

さらに、SCSKグループ内ではシステム開発における生成AI活用に対する関心が高く、各開発フェーズでの適用を開始しています。
一例として、モビリティのソフトウェア開発では、複雑なソフトウェア仕様の精査を行いつつ、開発工程を進行させることが求められるため、ChatGPTを使用し作業を効率化する取り組みを進めています。

生成AI活用の4つのステップ

Next step

現状では、【Step1】と【Step2】に関するリクエストが非常に多いため、これらに注力していますが、今後は【Step3】と【Step4】の段階において、業界特化モデルや用途別モデルの開発にも取り組んでいきます。

発表資料URL:https://www.pccluster.org/ja/event/pccc23/data/PCCC23_1207_07_scsk.pdf